程なくして夕飯の時間になって。

ダイニングに降りて行くと、既に職場から帰宅していたらしい父と兄が席についていた。


囲う様に配置された数々の大皿。
色とりどりの料理。


よくもまあこんな短時間に用意できたものだと、我が母ながらに感心する。


あたしもいつかは家庭に入って、こうして家族の為に料理や洗濯をする日が来るのだろうか。

今はまだ、到底考えられない先の事がぼんやりと浮かぶ。


その前にある現実は、就職と離別。

そして家庭に入る云々(うんぬん)より以前に、未だ恋人の存在が皆無だけれど。