きっと ずっと もっと。

結局この日買ったのは、母に押し切られた黒いカシュクールのワンピース。

白いニットのアンサンブルに、甲にビジューをあしらったヒールがやや高めのミュール。

そして上下お揃いの、下着を三点程。


家を出たのは午前中だったのに、帰宅した頃にはとうに陽が沈み切っていた。


夕食作りに忙(せわ)しなく動き出す母を邪魔しないよう、買って貰ったばかりの衣類が入った紙袋を両手に抱え、自分の部屋へ戻る。

部屋は朝、出掛けた時のままだ。


相変わらず机の上には大量のプリントと情報誌が積まれていて、そしてその一番上には今朝、母が置いて行ったのか、一通の封筒が乗せられいていた。