「ありがと…。もう大丈夫だから」
あたしはそう言って笑った。
「無理して笑んなよ。しんでぇんだろ?」
何でなの?
何であたしの気持ち分かるの?
秀幸はすごいね。
仕事で身につけたのか知らないけど、今のあたしには関係なかった。
「取り敢えず出るか」
「うん」
あたし達はトイレから出た。
するとボーイさんが秀幸を見るなり駆けつけて来た。
「秀幸さん探しましたよ!!お客様が秀幸さんご指名しています。」
「分かった。今すぐ行く」
「23番テーブル席です」
「おう。」
秀幸にそう伝えるとボーイさんは戻って行った。
「あ!スーツ!!!!ちょっと待ってて」
そう言ってあたしは駆け足で席に戻りスーツを持った。
「鈴音、大丈夫?」
蓮さんは他のお客さんの所へ行ったのかいない。
けれど咲はヘルプの人と楽しそうに話しをしていた。
「大丈夫だよ。ごめんね。ちょっとまた行ってくる」
そう言って秀幸の所へ戻った。
「はい、これ。ありがと」
「おう。さんきゅーな」
「じゃぁ、あたし戻るね。秀幸もお客さんの所に行かなきゃっ」
あたしは180度回り、来た道を戻ろうとした時・・
バシッ
あたしは秀幸に腕を掴まれた。
あたしは振り返り秀幸の顔を見る。
「やっぱ無理」
「へ?」
「おまえほったらかして仕事するとか無理なんだよ!」
そう言って秀幸はあたしの腕を引っ張り奥の部屋へと連れて入られた。
バタンッ
勢いよくドアを閉める。
