「ご、ごごごごめんなさい!」



「ち、近寄らないで!」



「「いやぁぁぁぁ!!」」



傷だらけの彼女たちの体。



体の傷ならすぐに治るからいいよね……。



心に負った傷はそんな簡単には治らない。



ねぇ、あたしの傷、誰なら治せるの?



「愛、それ以上やったらそいつら真面目にヤバイよ」



ユリの言葉にハッと我に返る。



「……行こ」



あたしの言葉でその場を後にする。



あたしたちが今やっていたのはイジメ。



彼女たちがイジメの的になった理由は、あたしたちにぶつかってきたくせに、謝ることなんてせず、喧嘩を売ってきたから。



くだらない理由だよね…。



あたしたちが廊下を歩くとみんながこちらへ注目。



みんなはあたしたちが荒れていると誰も近寄らず、普通の日はみんなあたしたちに群がる。



今はあたしが荒れているからみんな道をあける。



「愛ぃ、大丈夫ぅ?」



瞳が心配そうにあたしの顔をのぞき込んできた。



「平気。顔に少し傷が付いたのがムカつくけどね」



髪を掴み上げたときに少し引っかかれた。


「まぁ、愛の顔より、アイツらの顔の傷のがヤバかったけどね〜ん」



いつものようにふざけた口調で話しているユリ。



「今日はやりすぎたかな」



「いつものことじゃん」



麗奈は短い冷たい言葉を吐いた。



すると、



「「キャァーーーー!!」




女子の黄色い声が後ろの方から聞こえてきた。



あぁ……アイツが来たのか。



「おー。はーくん登場じゃーん」



後ろを見ながら歩いてケラケラ笑っているユリ。



何がそんなに面白い……?



「愛ちゃーーーん!」



−ガバッ



女子に捕まっていたはずの隼人が、ニコニコしながら勢いよく後ろから抱きついてきた。



「…うざい」