割れた岩の近くに何かが落ちていた。


――つけ爪?


ネイルチップを握ると、
あのカミナリの中で
岩を必死に動かそうとしてた
ナツのビジョンが鮮明に見えた。


山には不釣合いなワンピース姿で、
泣きそうにオレを見つめたナツ。


つけ爪までして、
どこかに出かける途中で
オレに会ってしまったのかも知れない。


オレはテンパってて、
そんなこと気づいてもやれなかった。