それにしても、村には色んな物があった。



魔界とは大違いだ。



魔界には食べ物屋や服屋もあるが、ほとんど店ではない。道でケンカや乱闘があるのは、日常茶飯事。


だから、もはや店として機能なんてしていないのだ。



そして、魔界で最も多いのが、酒屋や、いかがわしい店。



そこは第二級以上の悪魔しか入れない。



第三級以下の悪魔はすぐに乱闘を起こすので、規制したのだ。



そのため、酒屋などの店は人間界といたって変わりはない。



ただ、いかがわしい店では人間界ではありえない、男女の交わりが普通に行われている。



第二級悪魔はほぼ、性欲や酒、金などの人間の強い欲望の集まりなのだ。




そんな魔界に比べれば、人間界は窮屈だ。



ユハはローズを見る。



ローズは野菜や、肉を見て考え込んでいた。




触れたい─────────


そう思っても、簡単には触れられないのが人間界だ。



だから、ユハもいつも理性を保とうとしている。だが、今はおかしかった。





そのカラダを───────


めちゃくちゃに


アイシタイ────────




手がローズの肩を掴む。


グイッ



「え、ユハ・・・?」



ローズの声にハッとするユハ。



「・・あ・・・・・や、何でもない」



無意識にローズの肩を掴み自分の方へ向かせていた。



何なんだ?


今の・・・・・・・・・?


自分の意識とは違う何かが・・・・・




今まで感じたことのない感情に、ユハは戸惑った。



確かに、ローズに触れたいと思ったことは何度もあった。


でも、こんな感じじゃない。


もっと甘い疼きと、痺れのようなものが走るのだ。








でも今のは、押し潰されるような黒いモノ────────



ユハは自分の手をジッと見つめた。