家に入るとマリーはエリックに外でユハと遊ぶように言った。



二人は並んでソファーに座った。




一息つくとマリーはすぐに話し始めた。



「エリックがもう3つだから、ローズが15になりたての時ね。お父さんが死んだのは・・・」


「・・・えぇ。そうね」


「最初に言っておく。お父さんが戦死したっていうのは、嘘!」



え!?


思いもよらないことにローズはただただ驚いた。



「う、嘘?じゃぁ、どうして・・・」


「それを今から話すんだよ。まったく、アンタは昔からせっかちだねぇ」



マリーが呆れたようにため息を零したので、ローズはムッとした。




「本当はね、あたしの婚約者は、フィデールの父親だったんだよ」


「え?!・・・う、そ」



ローズは口を押さえた。



「そして、アンタの父親ローランはブリジットの婚約者だったの」



さらに目を見開いた。



だが、ここで疑問が生じる。昔から自分の家は貧しかった。だから、父は貧しい家の出身だと思ってきた。


母との身分差婚。なんだか、女心が疼くロマンチックなことを想像していた。



だが、今聞けば父には婚約者がいたという。



これは一体どういうこと?と、ローズが頭の中で混乱しているとマリーは話を進めた。