暖かいローズを感じながら、俺は悪魔の世界のことを思い出していた。




「俺が住んでいたのは、太陽のような光のあるところじゃなかった・・・。暗くよどんでいる空に加え、美しい草原も花もない、荒れた土地」



・・・・そんなところが世界には存在するの?



ローズは驚いた。



「だから、ここへ来て初めてしったことは山ほどあるんだ」


「・・・・・・そう。じゃぁ雷もなかったんだ」


「あぁ。雷だけじゃない。雨も知らなかったし、空があんなに綺麗な色をするってことも知らなかったよ」


ユハは大きく息を吐いた。それがローズの髪の毛に届き、少し揺れた。



「お、大人の人も何も知らないの?」


「大人?」


「そう。ユハのお父さんやお母さんとか・・・」


「あぁ・・・俺には両方いないよ」


「え?」