泣かないでくれ・・・



どうして、君が泣かなきゃならないんだ?



どうして・・・



悔しいから・・・・・・?



あぁ、そうか、人間は金と仕事で階級があるんだな。



自分の力ではどうしようも出来ない。



気に入らないなど自分の気持ちは関係ない。



気に入らなくても受け入れるしかないんだ。



自分のため家族のため、この村にいるには彼に嫌われたらおしまいなんだ。



「・・・っ・・・っひ・・・」



顔を両手で覆い、泣いているローズが普段よりももっと小さく見えた。



それを見てユハは



「泣くな・・・・・・」



そう言い、後ろから抱き締めた。





「・・っ・・・・ユハさん?」




ローズは驚いてこっちを振り返った。



目が赤くなって腫れている。



こんな悲しい表情にさせたのは誰だ?



ベルモンド────────



ユハの胸はベルモンドに対する怒りと憎悪でいっぱいだった。



愛するローズを泣かせ、苦しませるあいつを生かしておきたくない。



ユハの中に、かつてあった悪魔の心が蘇ってきた。




「ローズ・・・大丈夫だ。俺が、君が幸せに暮らせるようにしてみせるから・・・。」