ユハはローズに引っ張られるままに走った。



だが、ユハの頭の中はローズが進んで自分の手を引いてくれたことへの嬉しさしかなかった。



「ほら、上を見て!」



大木の下まで来るとローズはそう言って上を指差した。



一緒になって顔を上げると



ユハの目に映ったのは、木と太陽がつくる無数の輝きだった。



「綺麗でしょう?木漏れ日、あたし大好きなんです!」


「へぇ・・・こもれびって言うんだ。」


「え・・・木漏れ日を見たことがないんですか?」


「あ・・・あぁ。俺の国は太陽が無かったから。こんなに綺麗なものを見たのは、生まれて初めてだ。」



そう言うユハは、とても穏やかな表情をしていた。




「そうなんですか。太陽がない所があるなんて・・・」



普通ならありえない。地球上のどこにいても、太陽は必ず追い掛けてくる。



地上に生まれてくるもので太陽を知らないものなどいないだろう。




だが、ユハは違う。




悪魔の弱点は光だ。光を浴びてしまうと悪魔は消えてしまうのだ。



だから、悪魔の世界には光など存在しない。



だからなのか、悪魔自体にも希望や夢、愛など自分を明るくしてくれる感情が無い。




俺は人間になった。


ローズと同じ・・・


そのおかげで太陽を見れた。


光の世界にローズの世界に来ることが出来た。



ユハは今までにない活力、幸福感に満ち溢れた。




だが、そんな気持ちもつかの間。



ローズが一番会いたくない人物が現れた。