「なぁ・・・」



先に口を開いたのはユハだった。



「はい」



ローズは顔を上げた。



「そんなとこにいないで、こっちへ来たらどうだ?」

「え・・・あ、はい」



ユハは、自分が座っているベッドの隣をポンポンと叩いて呼んだ。



「君は・・・ローズは、恋をしたことがあるのか?」


「え?」



どうして、あたしの名前を知っているの?



「あ、や・・・母親に聞いたんだ」


「あ、そうですか!」



ローズの顔を見て焦りながらユハは付け加えた。もちろんデタラメだが・・・




それでも、それを素直に信じたローズはドキドキした。


どうしてなんだろう・・・?


この人と話をしていると、前からあたしのことを知っていたような口振りに聞こえる。



ユハと話すたびに、一つ一つ疑問が生まれることを不思議に思い始めた。




「で、どうなんだ?」


「あ、恋ですか?」


「そうだ」



恋かぁ・・・・・・

もうずっと前だけど



「一応あります。・・・一度だけ」



片思いをしたことがあった。



「どんな感じだった?」


「え・・・どんな感じといわれても」


「どんなことでもいい。どんな気持ちになったのかを教えてほしいんだ」



ユハは、自分の気持ちが恋心なのかを確かめるために、ローズに尋ねたのだ。



今の自分の気持ちと、恋をしたときのローズの気持ちが同じならば、自分はローズに恋をしていると自覚できるから。