「実はね、彼人間の女の子に恋をしちゃって」


「は?ちょ、お前・・・」




いきなり何を言いだすんだ!?




ユハは驚き、アリスの肩をグッと抑えたが「あたしにまかせて」と言うので



とりあえず様子を見ていることにした。




「で、続きなんだけど、例の薬を彼にくれないかな?」




例の薬と聞き、ユハの不安は再び増加する。



だがそんなユハをよそに、女主人はおもむろに、白衣の内ポケットに入っていた薬をユハに渡した。




「え・・・や、変だと思ったかもしれなぃが、俺はいたって健康だ」




当たり前か。悪魔が人間に興味を持つなんて、今の時代じゃ珍しいにも程があるってものだ。


頭が狂ったと思われても仕方がないかもしれない。




ユハがため息を吐くのを見た女主人は口を開いた。




「別にあんたがこわれたなんて言ってないだろう」


「へっ?」



顔を上げると薬を押しつけてきた。




「飲むか飲まないか、運命をどうするかもあんた次第だよ」



さっきのアリスに対してとは、全く逆の性格になった女主人に苛立ちを覚えながらも、ユハは薬を受け取った。