香代子はやっとの思いで異常気質の旦那と離婚を成立させると、僅か9ヶ月で再婚を決めた。

離婚したって、両親はバラバラ、帰る家などない。

休まりきらない精神状態で、家賃を払いつつ、元夫に背負わされた借金までもを返し続ける日々は堪え難かった。

条件の良い新たな出会いを期に、早急に再婚を決めたのだ。


大手商社の幹部だというその夫は、相当な高給取りでありながら、真夏の真っ昼間であっても、香代子がエアコンをつけることを許さないと言う。


結婚一年目の8月の半ばには、家の中で熱中症を起こした意識不明の香代子が救急車で運ばれた。

香代子に働くことを禁じておきながら自分のためだけに金を使い、女遊びに余念のない男のようだ。

香代子は家族と接触することを避け、孤立していった。