万里子の書いた官能小説は、次々と単行本として出版されるようになった。 新聞の連載をいくつも抱え、万里子の収入は夫のそれを上回った。 真奈美は両親と同じ大学に進んだ。 ジャズサークルで出会ったという彼氏ができると、今まで無頓着だった衣服や髪型などにも気を遣うようになっていった。 弘樹は毎晩、飲んで帰るようになった。 万里子も真奈美も、弘樹がどうしていようと関心がなかった。 案の定、弘樹は浮気をしていた。