メスなのにボス猫の風格を漂わせるペケは、人間に抱かせることを許さず、決してこびることのない、珍しい猫だった。 犬と喧嘩をしてはかすり傷一つ作らずに帰ってくる。 相沢家の近所で、ペケに逆らう動物はいなかった。 ペケに発情期が訪れる頃、香代子は父親の、悍ましい残酷さを目撃してしまうことになった。