「何て凛々しいのかしら…!!」



「素敵…////」


━━━自分の髪と同じ緋色の見事なロングタキシード姿で、通路に広げられた赤絨毯の上を優雅に歩く王子を見て、ある者は頬を染め、メイド達から感嘆の声が響く。



「いつも魅力的ですが…」



「えぇ…今日は一段と…格好良いわ…////」


仕事も忘れてうっとりするメイド達に気付き、何気なく王子が声を掛ける。



「…?
手入れ、進んでないな…手伝おうか?」


いきなり王子に話し掛けられ、メイド達ははっ…と我に返った。



「いっ…いえっ!!
王子のお手を煩わせるなんて…」



「申し訳ありません、
直ぐに終わらせますのでっ…」


思わぬ気遣いにメイド達は赤面しながら恐ろしく取り乱している。



「そう、か…そんなに急がなくても良い。
怪我をしない程度にな」


そう言って薄く笑った後、王子は通り過ぎていった。



「はわわっ…びっくりした…
私初めて声を掛けられました…」



「とってもお優しい方ね…。」


王子が通り過ぎていった後も、メイド達は暫く仕事をしないままうっとりしていた。