「……寂しくなかったか?一人で…」
唐突に聞かれ、娘は一瞬言葉が出てこなかった。
しかしそれは、王子が何処か自分と重ねているような気がした。
「……そうだね。
確かにちょっと寂しかったかな…
今まで自分の周りには
当たり前のように人がいたから…」
改めて聞かれると、娘は少し切ない表情になる。
「というか…、
両親が小さい頃に死んじゃった時点で、
結構堪えてたんだ。
そういう意味では…
やっぱり孤独、だったのかな…私も」
さりげなく王子の事を表わしていたが、王子がそれに気づいているかは分からない。
「でもね…、最初は不慣れだったけど、
今は自然に囲まれたこの森が、私は好き…。
それにね?全然気づかなかったけど、
もっと自分の視野を
広げて見るようになったら、
街の人達も、
段々接してくれるようになったんだ」
そう言って、先程の悲しそうな表情は既に消え、娘は嬉しそうに笑っていた。
「そういうもの、なのか…?」
娘の笑顔の本当の意味は、王子にはまだ分からなかった。
