砂漠の月歌 〜dream story〜





不意に黙り込んでしまっている王子に、また娘は話し始める。



「メイドさん達は何人ぐらいいるの?」



「……あ?メイドか?あー…まぁ沢山いるな…

いつも世話になってるが、
入浴する時に大人数で
服を脱がせようとするのは止めてほしいな。
それくらい一人で出来るから」


それを聞いて不覚にも娘は想像してしまった。



「まぁ、可愛いから大目に見ているが…」



「お風呂…」


何故かは分からないが、あまり良い気分はしなかったので話を切り換える。



「執事さんとは仲が良いみたいだけど…」



「あぁ、あいつか…。
悪くはないが…あいつはいつも単純なんだ。

大広間に飾ってあるツボを割った時、
ボンドでくっつけようと執事として
あるまじき事をしたり…」


苦虫を噛み潰したように言う王子に、娘はつい笑み漏らす。



「フフッ…面白いね。あの執事さん」



「笑い事ではないぞ?
お蔭で俺まで巻き添えを喰らって
姐御に怒られた…」


そう言って膨れっ面になる王子を見て、娘は笑ってしまう。



「あははっ…
それじゃあどっちが上か分からないね」