砂漠の月歌 〜dream story〜





「えと、あの…えっ?」


戸惑う娘を余所に姐御は更にギュッと抱き寄せる。



「私は元々こういう
小動物みたいなものが大好きなんだよっ
お前、私の妹になる気ないかい?」



「姐御っ!!そのくらいにしろ!!
苦しがってるだろうがっ」


王子の言葉に漸く反応し、姐御は娘を離す。



「あ、悪い悪い。大丈夫かい?」


「い、いえ…」


美人な外見とは裏腹な豪快さには娘も苦笑するしかなかった。



「ちぇっ…姐御だけずるいじゃん。俺もd」
ドカッ!!


「お前は駄目に決まってるだろうが」


執事も抱き着こうとしたが、腹に一発入れられ王子に阻止される。



「お前達…名も名乗らずして
それはないんじゃないのか?」


言われて見れば、抱き締めたりはしたが、まだ自己紹介はしていなかった。



「あぁ、そうだったな。

……私は宮殿の使用人頭を務めている。
ちなみに地位はこっちの執事より上だ。

私の事は姐御と呼びな」



「俺はこの宮殿の執事だぜ。
まぁ、王子のお目付け役なんだけどよ」