砂漠の月歌 〜dream story〜





 二人が楽しそうに話している最中、不意に後ろから冷やかしの声が聞こえた。



「何だ何だ?お取り込み中か?」


ステージから降りてきた執事と姐御が割り込んできたのだ。



「……何か用か?」


にやけながらこちらを見てくる執事に王子はあからさまに嫌そうに顔をしかめる。



「別にー?ただお前が
他の奴と喋るなんて珍しいからよ」


そう言いつつ、気持ち悪い程ニヤニヤする執事。



「王子、街の娘かい?この子」



「あぁ」


姐御は姐御で、先程から王子と話していた娘の事が気になっていたようで、じろじろと観察している。

初対面なので、娘も丁重に挨拶する。



「あの、初めまして…。香澄と言います。
えっと、料理…美味しかったです…。」


その挨拶も何処かズレたものになっていたが。


……しかしそれは奇遇にも姐御のツボに入っていたようで、



「何だ何だ可愛いな〜お前!!」


ギュゥゥ〜ッ!!
「え、えっ?」


あろう事か真正面からいきなり娘を抱き寄せたのだ。



「は!?姐御、お前何をっ…」


唐突な姐御の行動に王子も慌てふためく。