……そこで漸く、王子の言っている事を理解した。
敬語を気にしていたのだ。
「16歳…」
「あぁ、ほら…
やっぱり俺と同じだったな」
自分と同い年だと分かり、一人納得している。
敬語は使わなくて良いと言われれば、普通に話し掛ける他ない。
「あのー…その手に持ってるのって…?」
まだタメ口が慣れない為、遠慮がちに王子に尋ねる。
王子は手にワインを持っていたのだ。
「あぁ、これか?見た通りワインだが…」
平然と言いながら一口ワインを口に含む。
「さっき私と同い年って…え、未成年…?」
未成年が平然と酒を飲んでいるのでどう対応していいのか迷ってしまった。
「あぁ。未成年だが、俺は王子だからな…
何やかんやで許されてるんだ」
「あ、あはは…そうなんだ…。」
煙草や酒やカジノ…、国王の後継者である王子は所謂何でもアリらしい。
「…?貴方も飲むのか?ワイン」
どうやら娘が手に持っているワインの事を言っているようだ。
娘は慌てて否定する。
「ううん…。
これはさっき間違えて渡されちゃって…」
それを聞いて王子は安心する。