「はぁ…王子…、
今日は舞踏会だってあれほど言っただろ?」



「寝過ごしたんだ…仕方ないだろうが。
それになかなかのパフォーマンスだっただろう?」


王子のしてやったり顔を見て、次第に執事は顔を引き攣らせた。



「かなり大サービスだぞ。
その代わりに、俺のピアノの腕前が凄すぎて
皆俺が遅刻した事すら完全に忘れている」



「王子ー…
まさかとは思うけどよ、それ狙ってた…?」


その問いに王子は答えなかったが、満足げに笑みを見せる。



「まぁ…
演説代わりにもなった事だし、
結果オーライという事だ」



「「王子この野郎っ!!!!」」


清々しい程の開き直りに、ついに二人からハモりでお叱りを受けた。



「っ…」


膨れっ面の王子。何処まで計算高いのか知れたものではない。



「……ちょっと行ってくる」


これ以上執事と姐御に怒鳴られないように、王子はそそくさと逃げるようにステージから降りた。