言葉は優しく聞こえるが、王子の瞳は先程よりも極めて鋭かった。



「……だがお前には、罪を償ってもらう。

ロゼオ=ダ・カーポ…
この国の国王を殺した事…、それから、
俺の大事な人から両親を奪った罪…
決して重くはない」


その言葉はロゼオにとって、どんな言葉よりも重くのしかかった。



「ぐっ…畜生…畜生!!」



「……お前に王家の名は語らせない」


そう言った後、王子はもう一度ロゼオを見据える。

そして周りにいる兵士や取り押さえられている暗殺部隊、宮殿から見ているメイド達、執事や姐御、そして娘に聞こえるように、強い口調で言い放った。




「━━━この国の王は、俺だ…。」


それは、そこにいる全ての者達に聞こえた。

地平線に沈む夕日を背に立つ王子の姿は勇ましく、亡き国王を思い起こす。



「国王…」


執事は王子を見て思わず口に出して言っていた自分に驚いた。

しかし姐御も恐らく自分と同じ事を思っていたのだろう。



「……まだ未熟だと思ってたけど…、
いつの間にか、
私等より頼もしくなってたようだね…。」



「あぁ…そうだな…」


夕日を見つめる、まだ幼さが残り、しかしとても頼もしく立派な未来の王の背中を、執事と姐御は夕日が沈むまで眺めていた━━━……。