言い終わる前に、王子はロゼオに向かって剣を投げ飛ばした。



「ひっ…!?」


殺される…とロゼオは咄嗟に息を呑むが、投げ飛ばされた剣はロゼオの顔の真横を通り抜け、後ろの柱に勢いよく突き刺さる。

腰を抜かすロゼオを余所に、漸く姐御達が駆け寄る。



「……王子、
これから野の国をどうするんだい」


隣の野の国の国王の言う通り合併でもするかい?と姐御は尋ねた。

どのみち暗殺部隊まで編成させ、暗殺を命じた国王が追放されれば、国の運命は先の知れた事だ。



「今回の騒動は
野の国から仕掛けたんだぜ…?
別に放っておいても問題ないと思うけどよ」


執事も、自業自得だ…と、どうでもいいように呟く。

しかし王子は言った。



「いや、合併はしない…だが支援する。
国民には何の非もないしな。
それに隣の国には…、
香澄の親戚もいるらしいからな…。」


そう言って、娘の方に目を向ける。



「…!!……うん、ありがとう…。」


それは王子の精一杯の気遣いだと娘は気づいて、微笑んだ。