あの暑い 夏の記憶


日夏ママが急ぎ足で小屋の中に入り、扇風機のスイッチを押した。


ブゥーン…。

わたしのところまで扇風機の風が吹き流れてくる。


旭ママによって、陽の当たらないところに敷かれた布団に、耕にぃはそっと日夏を寝かせた。


日夏ママが日夏のTシャツを脱がせて、葵ねぇが用意した濡らしたタオルを日夏の体に被う。



泣きじゃくれるわたしの頬っぺたは、耕にぃの大きな手に包まれ。

「心音…。日夏は死なないよ」

と、囁いた。


耕にぃの優しい顔と葵ねぇの心配そうな顔を、交互に見ていたら、頷くこともできなかった。


「お母さん。…にっち…、どうなの?」

旭が弱々しく、口を開いた。


「…ん。熱中症だねー…」


「…ねっちゅーしょー?そ、それって、…死な、な、ないの?」

聞き慣れない言葉を耳にしたわたしと旭は、口を震わせた。


「熱中症で死ぬこともあるよ…」


ゴクッ…。

そう答えた旭ママの言葉を聞いて、わたしは息を飲んだ。