あの暑い 夏の記憶


震える足取りは重たくて、上手く歩いているのかさえわからない。

葵ねぇは、わたしの手を力強くしっかりと握る。


ビニールハウスが見えて来ると、歩くスピードが段々と早くなる。



日夏…!


木陰で横たわる日夏は、葵ねぇを呼んでくる前とちっとも変わらなかった。


「…ごめん、…なさいっ!わ、わたしがっ…」

葵ねぇに、しゃくり声をあげなから話す。


日夏を抱き上げた葵ねぇは、真剣な眼差しで話を聞いてくれた。


偶然、通りかかった耕にぃと。

息を切らした日夏ママと旭が詰め寄る。



「…これは?」

不思議そうに葵ねぇは、日夏の額と首に乗せた白いタオルを手に取る。


麦茶の色が染み込んで、タオルはすでに変色していた。


「塩あめ…?」


手の中に持たせた、塩あめも…そのままだった。



耕にぃが日夏をおぶり、みんなはその後に続いた。


わたしは目から流れる大粒の雫を左手で拭いながら…。

右手できつく葵ねぇの手を掴む。