あの暑い 夏の記憶


後を追いかけて来た日夏は、わたしの隣にしゃがみ込み雑草を抜き出した。


「み、心音ちゃ~ん…?」


……。


「お、オレが悪かったって!」


……。


「心音の好きな耕にぃの悪口はもう言わないって?」



「…ごめんって!」


「心音~…」


蚊の泣くような声色で、日夏はわたしの腕を触る。



聞こえない振りを決め込んで、顔を覗かせる日夏を避けながら、雑草をむしり取る。



「何だよ…」



「そんな怒って…」



「な、何なんだよ…!」



「耕にぃがボサッとしてんのは事実じゃんよ」




葵ねぇも耕にぃも…。

お互い、信用し合ってるんだよ!


2人はお互い…、大好きなんだから!


だから…。葵ねぇが他の人に取られるなんて…!


…有り得ないんだから!


葵ねぇが…、あんな人を好きになるわけない!


日夏にはわからないよっ。



あの日、耕にぃが話して聞かせてくれた2人の過去…。

そこにいなかった日夏にはわかりもしないのに、なぜだか無性に腹が立ってしまった。