あの暑い 夏の記憶


辺りが急にシーンッとなって、仕方なく雑草むしりに力を入れた。


「ピーマンの肉詰めの何が不満なんだよ。農家の娘のくせによ~っ」

自分のことを棚に上げて、ブツクサ独り言を言い始める。


「だいたいよ~…!あの真っ黒いオッサン、なんなんだよ!葵ねぇにべったりでよ…!いけ好かんヤロ~だ。自慢ばっかしでよっ。“俺は~…”じゃね~よ!」

直行さんの真似をしながらブチブチ雑草をつかまえる。


「耕にぃも、ボサ~っとしやがって!とぼけた顔で笑ってんじゃ…」


「耕にぃの悪口言うな!」

日夏の前に立ちはだかり、声を荒げる。


「な、何だよ急に…?」

急に立ち上がったわたしを見上げ、口角を尖らせた。


「…何も知らないくせに!耕にぃを悪く言わないでよ!」


「心音…?何怒ってんの?」

理解できないでいる日夏を睨み付ける。



耕にぃは…。

ちゃんと葵ねぇを見てるんだから!


わたしは、無言で日夏の横をかすめ、ズンズンと隣のビニールハウスへと立ち去った。