あの暑い 夏の記憶


きょとんと、口を半分だけ開け、日夏はわたしに視線を返す。


「…おう!任せろ!」

と、答えた日夏は、ニコニコと口を緩めながらスキップしているわたしを、怪しげな目で追う。



青い軽トラに乗り、走り去る広じぃを見送った後。


わたしの目は、ピーマンの前で立ちすくむ旭を捉えた。


旭の元へ駆け寄ると。口をへの字に、怖い顔をでピーマンを睨み。

「今日…。ピーマンの肉詰めだって…」

そして、肩を小さくする。


「…!肉!?」

表情を輝かせるのは、もちろん日夏だった。


代々続く、農家の家に産まれた旭は…小さい頃からピーマンだけは嫌いなんだよね。


“自分たちで食べる用”の畑から、ピーマンと人参と長ネギを引っこ抜き、籠に無造作に詰め込んだ旭は、また肩を小さくして家へと歩き出した。


「オレは肉なら何でもいいぞ!」


「バカ!」

思わず、わたしの腕はデリカシーのない日夏の頭を目掛けて振り上げていた。