あの暑い 夏の記憶


「さては…!耕にぃに会えないから八つ当たりだな!」

日夏はそう吐き捨て、立ち上がって葵ねぇを睨み付けた。


止せばいいのに…。


そうなんだ…。

最近は朝早くから耕にぃもトラクターに乗らなきゃならないから、送りにも来ない。

それがちょっと寂しいんだー。


葵ねぇは仁王立ちしたまま。

「フフッ。残念でしたー!」

大きな口を開き、指差した。


激しく機械のエンジン音を上げ近づいてくるトラクター…。



…耕にぃだ!


「なんだよ!なんだよっ!!けっ!耕にぃが会いに来たのかよっ。そうやってコソコソ逢い引きしてんだなっ」

さも悔しそうに、せっかく抜いた雑草を撒き散らす。


いちいちリアクションが大きくて、やっぱりうるさい…。


…ほらね。


「逢い引きなんて子供が使う言葉じゃない!」

やっぱり殴られた。

止せばいいのにな…。



「にっちのバーカ!うちのトラクターが壊れたから修理出してんの。だーかーらー。おにぃが持って来てくれたの」

そう旭に耳をつねられて、日夏はまた…「イテーッ!!」と、大袈裟に痛がるんだ。