あの暑い 夏の記憶


今日から、葵ねぇとわたしたちは旭んちの手伝いなんだ。


「…どうせなら酪農の家に産まれたかったよ…、オレは!」

日夏は涙目になりながら、雑草をむしり取る。


「何でー?水産業のがいいしょ?だってー。…タコもカニも美味しいもーん!」


「オレはお前が羨ましいよ…」

わたしにいじらしそうな目を向ける。



「ほらほらー、牧村丸の跡取り息子!しっかり雑草取りしろよ」

わたしたちが顔を上げると、仁王立ちで見下ろしている葵ねぇがいた。


「けっ!札幌に連れてってくれないならずっと寝込んでろ~!スーパーヒーローになんてならなきゃ良かったぜい!」


「フフッ」

不気味に笑う葵ねぇは…、いつもより恐ろしかった。


「おねぇ…。スーパーヒーローのおかげでパワーアップだねー…」

旭は口角を引き攣らせて、葵ねぇから目を反らせないでいた。


「家でもあんなんだよ…。あれから、ずっとこんな感じだよね…」

わたしはヒソヒソと、旭に耳打ちした。