あの暑い 夏の記憶

「今のたくましい葵ねぇとは、なんか…、想像できない…」

わたしは目をでっかく見開き、耕にぃの顔を見た。


「だから…、すっごくがんばってた…」


あの優しい広じぃが、昔は葵ねぇを…出来そうもない仕事を押し付け虐めていたこと。


それでも…。ボロボロになっても、食らいついていたこと。


何度も何度も罵られても、必死だったこと。



「…今日はここまで!続きはまた今度な?」


「えー!続きはー?ずるい耕にぃ!!」

耕にぃの腕を何回も揺らす。


ニヤニヤしながら。

「ダーメ。また今度!」



しつこいくらい続きを急かしたのに、耕にぃはニヤけて『ダーメ』とそればかりだった。


「俺が葵に怒られちゃうから、話したことは内緒だぞ?」

人差し指を立てた指を唇に当て、ブスッとしているわたしの背中をポンポンと叩く。


わたしは仕方なく。

「…はぁーい」


納得いかないといった感じで、不満そうに返事をした。



いつも明るく、威勢のいい葵ねぇの過去。


そこにはわたしの知らない葵ねぇがいた…。