あの暑い 夏の記憶

「…耕にぃ?何してんの?」

ガス台の前で腰に手を当て、鍋をジーッと見ていた耕にぃに話かける。


「ん?お粥作ってるんだよ」

そう答えて、おたまで鍋を掻き交ぜた。


お粥?

…あっ、葵ねぇにだっ!


「…そっかーっ!」

わたしはなんだか嬉しくなって、その場でぴょこぴょこ飛び跳ねた。


「何も心配しないで、心音は今日、日夏ん家に泊まりに行けよ?」

優しく微笑んだ耕にぃに、わたしも笑顔で返した。


「わかった!」

耕にぃが『大丈夫』って言うなら大丈夫だ!

同じ『大丈夫』でも、葵ねぇの『大丈夫』は…、どうしても信用できないけど、耕にぃなら大丈夫!


何でか…、安心するんだ。


お鍋を抱えた耕にぃとフラフラしている葵ねぇは2号へ姿を消した。


わたしと日夏は、日夏ママの車に乗り、日夏んちへと向かう。


日夏は寝る直前まで、『明日のお弁当は肉だからな!』と、『明日は、葵ねぇの唐揚げが食べれないのかよ!』と、うるさかった。