あの暑い 夏の記憶


月曜日の朝。


鏡に映し出された顔に、何も感じない。

冷たい水が腫れた瞼に染みる。



左手首に結ばれた鎖が、また涙を誘う。


ひんやりとした水を顔面に、何度も…かけても、かけても。

滲んでくる。



「心音?朝ご飯食べたら手伝ってくれるか?」

何も知らない耕にぃが、作業を手伝うように言い付ける。



ただそこに日夏がいないだけで。

何も変わらない。



…いつもの朝だった。



顔を隠すように、麦藁帽子を深く被って。


食欲なんてないのに、無理っくりご飯を口の奥に運ばせる。

味も歯ごたえもわからなくて、何でもいいから飲み込む。


茶碗を持つ左手首で揺れる黒い鎖が、憎らしいくらいに。

喉の奥を詰まらせる。


むせたフリをして涙ぐむ。



何もなかったかのように振る舞う、いつもの朝。