あの暑い 夏の記憶


どんなに寂しいって。

行くなって言ったって。

日夏は、いなくなるんだから、何を言ったって…同じだって思った。


それでも、今言わなかったら。

もう2度と会えなくて。

言えないんだって。


考えたら…。


今…言っておきたかったんだ…。



でも…。

朝にはもう日夏たちはいなくなってて…。


日夏ママの車が、農道をずっと下がり走り抜けて行った。



日夏んちの前の砂利道に、膝と手をついて倒れ伏せる。


雨も降っていないのに、滴り落ちる雫が砕石を濡らしていく。



昨日、日夏が最後の言葉を言うチャンスをくれたのに。

真実を言えなかった報い。



「…約束…なんて…ック…日夏がいなかったら…ック…叶わないんだよっ…!!」



日夏が…。


早く大人になりたいと願っても。


免許取って船を運転出来たって。



いなくなったら…特別待遇なんて言われたって…。



嬉しくないんだよ。