あの暑い 夏の記憶


「…わかった~っ!!」


返事をして起き上がり、ベッドから降りて歩き出した日夏は、わたしの前でその足を止めた。


「…心音?」


「…え?」


「アハハッ、その顔!やっぱし…お前が、きょとんってする顔…オレは好きだな…」

って、ぐりぐりと指でわたしの眉間を押した。


「なっ…!」

その指を手で払いのけようとしたのに、手首を掴まれて。


「みんなはオレがいないと寂しいだろ~けどっ…!心音は…オレがいないと…寂しいか…?」


あまりにも真剣な眼差しに、目を反らしてしまった。


なのに、日夏はわたしの顔を覗き込んで来て。


目を見れなくて、掴まれた手首が熱くて。

気まずくて…。


「寂し…くない」

って、答えていた。



その瞬間、日夏が悲しそうな表情を見せたかと思ったら、すぐに笑顔を作り。


「…そう…だよな~っ!」


じゃあ呼んでっから!!と、わたしの前からものすごい勢いでいなくなった。