あの暑い 夏の記憶


今日中に、荷造りして運び出さないといけないって言うのに、日夏の部屋だけちっとも片付いてなくて。


言いたかった台詞なんか、全部どっか行っちゃってて、荷物を詰め込むのを手伝っていた。


「…何これ?」


「…さぁ?」


とぼける日夏にわたしは声を張り上げる。

「これわたしのだよっ!なくしたと思ってたのにーっ」


いつだったか、昔に気に入って毎日つけていたイチゴの髪留めを見つけた。


「落ちてたんだって!分かった、返すって!!」


「もういらないよっ!」

ダンボール箱に投げ入れた。


「…あっ!こんなとこにあったのか~」

と、今度は日夏が何かを見つけ出した。


プラモデルのかけらみたいな物を大事そうにダンボールに入れる。


そんな感じで、ちっとも進まなくて。


「…さっきの片割れはこれだっけ」

って、ガムテープを剥がし始めた。


「…今閉めたばっかだよー」


「また閉じりゃいいじゃんっ」


「だって…全然終わらないんだもんっ」


「だって…見たいんだもんっ」