次の日の朝。

日夏の家の前に、大きなトラックが止まっていて。

掛け声を出し合いながら、青色の作業服を着た男の人たちが白いダンボールを運び詰めていた。



本当に…この町を出るんだ…。

心のどこかで、耕にぃが嘘をついて。


わたしをからかっているんだと思っていて。


夢なら早く覚めてと、願っていた。



今、目の前で起きている異様な光景すら…。


夢だって言い聞かせているわたしは…。


どうかしてるのかな。



起きている現実を、目に焼き付けるように立ち尽くす。

そんなわたしの背後から。


「心音…?」

と、1週間振りに聞いた懐かしい呼び声がした。


その声に、ビクンッと肩が上がり、異常に反応を示すと。


案の定、足が勝手に動き出す。



その動きを止めたのは、伸びる腕。

力が入った手を掴まれた。


「心音っ…」