日夏は3個目のトマトにかぶりついた。

「あんまりトマト食べ過ぎたら、葵ねぇにまた怒られるよ!」


「トマトは別腹だい!お前はもう…ぐばだびど(食わないの?)?」

そうわたしの顔を見て…4個目を口の中に入れた。


「うん…さっきとうきび食べたし、いい…」

口の周りを汚した日夏を見てるだけで満腹。


「じゃお母さんはきゅうりとスイカの方見てくるからね~。日夏!しっかりトマト採るのよ!」


「ば~び(は~い)」

まだトマトを頬張っていた。


大丈夫かしらと、飽きれ顔で日夏ママは隣のビニールハウスへと立ち去った。


ようやく食べるのを止め、収穫に取り掛かった日夏が口を開いた。

「なぁ~?葵ねぇは耕にぃのこと好きなんかな?」


「へ?」

間抜けな顔で日夏を見た。


「アッハハッ!その顔やめろよ!笑わすな!」


「勝手に笑ったくせに!」

…何さっ!


「耕にぃは満更でもなさそうだな~」

わざわざハサミをカゴの中に置いて、腕を組む。