あの暑い 夏の記憶


「葵ねぇと来てたのか~っ。やっぱしスケベじゃんかよ!やらし~なっ!!大人はずり~よなっ!そうやってコソコソしてよっ」

そう怒りながら唾を撒き散らす。


「アハハ、日夏も大人になればそうなるって。じゃーみんなで来年も来るか。生まれた赤ちゃんと、みんなでな?」


「絶対だかんな!」

日夏は耕にぃと目を合わせ、力を込めてそう言った。


「絶対だよ。約束な!あーあ…日夏には敵わないなー」

なんて軽く息を吐き、耕にぃはニヤついた。



…ドーンッ、ドーンッ。

遠くの方で、大砲を打った音のようなものが連続して聞こえた。


「…あーっ!」

と、叫ぶ旭を見ると。


その目線の先、空全体に散らばめられたカラフルな無数の粒が消えて行く。


丁度、真っ直ぐ向いた暗闇の奥で。

ドーンッ。

と、打ち上げられた花火。


円を描き、明るく輝く空が、消えてはすぐに映し出す。


「…キレイだね!」


「うぉ~っ!!…こんなの初めて見たっ!」


「あれ見た!?すごーいっ!」