あの暑い 夏の記憶


「あっち~…もう昼にしようぜい!」

あまりの暑さに、耐え兼ねた日夏はビニールハウスを走り抜ける。


外の木陰はひんやりとして心地良かった。


「今日は、耕にぃがお弁当作ってくれたんだー」

昨日のおばあちゃんの唐揚げも美味しかったけど、耕にぃの作るご飯も美味しいんだ。



「…また魚かよ~っ!はぁ…」

お肉以外のものがびっしり詰まったお弁当に、日夏は溜め息を漏らす。


「わー、いいなイカフライ!…また海行きたいなー。昆布のお手伝いしたい!」


「…何でお前はそんなに手伝いが好きなわけ?わけわかんね~っ」


「楽しいもーん!」


「…楽しかないもーん」

日夏は膨れて、わたしの真似をした。


「お母さんも昔は仕事手伝ってたんだって。まだ学生の頃によく兄弟で手伝ったって。日夏のお父さんはよくつまみ食いしてたってお母さん言ってたよ。日夏と同じだねー」

バカにしたように笑って話す旭に。


「オレは魚だけはつまみ食いはしね~よっ」

と、日夏は頬っぺを膨らます。