あの暑い 夏の記憶


葵ねぇの名前が変わったその日。


一緒に住みましょう。と、言う耕にぃママの申し出を、頑なに断り続けた。


二世帯住宅に建替えるからと、必死な耕にぃママには悪いけれど笑ってしまった。


新婚の邪魔をするもんじゃないって、広じぃの説得にも諦めない様子。


「気が変わったら言ってね?何でもするからね?」

と、葵ねぇの腕を掴んで離さない。


耕にぃも困ったような顔をしてこめかみに指をやる。



葵ねぇは。

「気を使わせてしまうから、このままがいい」

近いし、いつでも毎日でも会えるんだから。って。



「家族が増えたな」

と、そんな2人のやり取りを、嬉しそうにおじいちゃんになる広じぃは見ていたんだ。