あの暑い 夏の記憶


旭んとこの小豆も預かって来たと、ニカッと笑う日夏と。

広じぃも微笑んで、アスパラが入った箱をおじいちゃんに渡した。


「…見ず知らずの人間に…」

また涙声になるおばあちゃんに。


「…ここはそういうとこなんだよ」

葵ねぇはそう呟いた後、優しく微笑んだ。



「見ず知らずなんて…。みーんな親戚になるんだからそんなこと言わないで下さいよ」

耕にぃママに言われて。


確かにそうだ。


なんて言って、みんなで大笑いした。



最後に。

「…耕毅くん、葵のこと頼むな?…酷いことしてすまなかった」

おじいちゃんは耕にぃの肩をがっしり掴む。



あ…!


耕にぃが“どこの馬の骨かわからん男”って、怒鳴られた。って言ってたことを思い出した。

…いい印象なかったって…言ってたのに。




なのに耕にぃは。

「…昔のことはもう忘れましたよ」

と、いたずらな笑みを漏らした。


おじいちゃんは、一瞬表情を崩し、口角を上げた。