あの暑い 夏の記憶


わたしのお母さんと…お父さん。


写真に写るお母さんとお父さんは幸せそうに、絶やすことのない笑顔を振り撒く。


わたしの手には必ずおもちゃが握られていて、袋に詰まっていたおもちゃと一緒だった。


葵ねぇは箱の中から、小さな白い箱を取り出して開けた。

「…このチェーンは真美の形見。いつもこのチェーンしてたよ…私とお揃いだった」

それをわたしの首にかけてくれた。


四つ葉のクローバーの形をしたペンダントに小さなピンクの石がついていた。


お母さんがピンクで、葵ねぇはブルー。


他にも、指輪だったり財布だったり、手帳に鞄、靴も服も。よくお揃いにしたがったんだ。

って言うと、また違う箱を出して来た。


「何でも私と一緒の物を使いたがってたよ。なんでかは知らないけどね…。それに入ってるのが全部そうだよ。捨てられなくて持って来たのはいいけど…」


思い出が詰まり過ぎてて、開けられなかった。と、葵ねぇは箱に目をやる。