あの暑い 夏の記憶


埋めていた顔を上げると、優しく微笑む耕にぃと、ニヤついた日夏の顔があった。


「…帰ろうか?」

と、耕にぃに言われて頷いた。

「うん…」



小学校の前に止めてある2号の荷台に、自転車を積み込み、やっぱり荷台に乗り込むわたしと日夏。


「しゅっぱーつ!!」


ビッビッー。

思ってた通り、迫力のないクラクションが鳴ると、ゆっくり走り出した。



日夏に、何で小学校にいるのがわかったのか聞いてみると。

「…心音のことだからここだべって思った。オレだったら学校に来るからな~…でも弁当もないのに来ても意味ね~なっ」


「アハハ。日夏はお弁当食べに学校に来てるんだもんね」


「たまに勉強だってしてるやいっ」

と、いつまでも笑っているわたしに、ぷいっと、目をそらした。



学校に来れば、迎えに来てくれると思ったんだ…。

葵ねぇが毎日迎えに来てくれたように…。


心のどこかで、そう思ってたわたしは…。



葵ねぇとずっと一緒にいたかったんだ…。