あの暑い 夏の記憶


「いずれは話すことだったんだ。心音に言わなかったのは…心音に離れて欲しくなかったからなんだ。心音が本当のことを知って、自分で決めて…目の前からいなくなるんじゃないかって…。
心音は、葵と一緒にいたくなかったか?おばあちゃんたちと一緒の方が良かったか?それとも…お父さんと一緒が良かったか?」

耕にぃが静かにそう話した。


わたしは…。



『この町から出て行きなさい!』


『心音は私が帰らなくてもいいんだ』



わたしは…。

それでも、葵ねぇと一緒で良かった。


本当のお母さんだったらいいなって思ってた。



わたしは…。


…葵ねぇと一緒がいい。