わたしは葵ねぇに聞きたくて聞けないでいた。
何で、耕にぃと結婚しなかったのか。
何で、昨日。耕にぃママに頭を下げていたのか。
何で、わたしの赤ちゃんの頃の写真がないのか。
何で、お母さんとお父さんの話をしてくれなかったのか。
何で、葵ねぇがわたしを育てているのか。
聞きたいことは山ほどあったのに。
なぜだか聞けなくて。
葵ねぇ…わかったよ…。
わたし、いらない子だったからだね。
誰にも必要とされてなかったからなんだ。
葵ねぇだって…。
わたしがいなかったら…。
耕にぃと結婚してたよね。
わたしがいなかったら…。
今頃2人で幸せになってたんでしょ?
わたしがいなかったら…。
いなかったら…。
耕にぃだって、待つことないんだよ。
わたしは…。
捨てられた子だったから…。
かわいそうに思っただけなんだ。



