あの暑い 夏の記憶


「…心音ちゃんはどうするの?」

おばあちゃんの言葉にわたしの中で緊張が駆け抜ける。


「そのまま私が育てるわよ」

葵ねぇは、目を吊り上げ面倒臭そうな顔をする。


「だってそんな…。あなたが結婚して子供を産んだら…。
せめて心音ちゃんだけでも札幌に…。
あなたの子供じゃないんだから…」

おばあちゃんはチラチラとわたしを見ながら、言いにくそうにしている。


「今まで通り!何も変わらないから。もういいから、放っておいてよ!!帰ってよ」


「あなたの人生に心音ちゃんは関係ないじゃないの。無理に育てなくたって、この子の父親に何とかして引き渡せばいいことでしょう?」

おばあちゃんがそんなことを言った瞬間。


葵ねぇや耕にぃ、日夏も。みんなの顔色が変わった。



今…おばあちゃん。


わたしのお父さんの話、…しなかった?



お父さんは死んだんじゃなかったの?


生きてるの…?