あの暑い 夏の記憶


あまりにもうるさいから…。


「何バカなこと言って~。耕毅くんに迷惑かけんじゃないの!」

また日夏ママに怒られていた。


「違うよ~!耕にぃ遊び人なんだって~。札幌人から見たら田舎者って冷たいんだってよ~」


「俺が変なこと吹き込んだから。ごめん…」

謝らなくてもいいはずの耕にぃが日夏ママに頭を下げた。


日夏ママは「あらやだ、謝んないで」と、耕にぃに言い話しを続ける。

「いいのよ、どうせこの子が悪いんだから。あんた、町によくお父さんと行くでしょっ!」


「オレが言ってんのは~、その町じゃなくて札幌の街だ!」

偉そうに両手を腰に当てて叫んだ。


「にち?札幌はおっかない街だから行かない方がいいよ」

見兼ねた広じぃは日夏を宥めようとした。


「ううん!オレは絶対行くんだ!!恐いのは札幌の街より葵ねぇだ!!」


「何を言ってんのかしらねこの子は…」

日夏ママは、またバカなことを…。と、言わんばかりの顔で溜め息を吐いた。