あの暑い 夏の記憶


耕にぃの家の前に止めてあるトラクターの陰に隠れているわたしと日夏。


「…結婚すんのに、何で一緒に住まないんだよ?」


「あの家が好きなのかな…」


「絶対耕にぃんちの方が綺麗じゃんかよ」


「なんか、ちゅうぜつとか言ってるよ」


「何だよちゅうぜつって?」


「…さぁ?…よく聞こえない」



「…まさか、手術するわけじゃ!?」


「子供は生みます。でも…先のことはわかりません。こんなにいつもお世話になってるのに…」


「…出て行くわけじゃないわよね!?」


「すいませんっ。やっぱり…8年前…ここに来なければ良かったって考えている自分がいます。だから…気持ちの整理がつくまで、待って下さい…」


「…待っててもいいのね!?」


「…はい」


「待ってるから。あーちゃんを信じて…待ってるから、ね?」


葵ねぇは住んでいる家の方へと歩き出した。

その後を、耕にぃが追うように去って行った。


わたしと日夏は、顔を見合わせ、首を傾げるばかりだった。